「QOLの向上」を医院コンセプトのトップに掲げる小嶋デンタルクリニック。院長の小嶋隆三先生は、「人々が健康で充実した生活を送るために、歯科医療ができることは何か。常にそれがテーマ」と言います。
どんな取り組みをしているのか、そしてそのテーマに高倍率のサージテルがどう関わっているのか、お話を聞きました。
まず、最初に使ったのは5年前、医療法人社団UG会 多田歯科医院で勤務医1年目のときです。院長の多田祐介先生に、「使いなさい」と言われて。「直視でも肉眼でも見れていないから、まだ早いですよ」と答えたんですが、「それでも使いなさい」と。
2.5倍と5倍を見比べましたが、“5倍スタートで全然大丈夫だな”と思いました。見えないもやもや感がなくなるし、今まで光が届かなかった所にライトが当たります。ストレスフリーになったので、歯科医師としてのQOLがすごく上がったと感じました。裸眼から5倍への変化は、自分の中で「パラダイムシフト」でしたね。勧めてくれた多田先生にはすごく感謝しています。
その後はもう、“どんどん見たい”で来ていますね。8倍の視野を見たときは“うおっ”と思って、歯科というものがすごく楽しくなったというか、あらためてモチベーションが上がったというか。その3か月後にワールドデンタルショーで10倍を見たら、我慢できませんでした。10倍にしたらもっとモチベーションが上がるんじゃないか、8倍でもかなり見えるけど、まだ見えるものがあるんじゃないか、と。今も10倍以上で見たいくらいです。
それは間違いないですね。「ここはどうなっているんだろう?」ではなくて、「こうなっているから、どうしたらいいんだろう?」になったんです。それによって、具体的に「どうするか」という方法を探せるし、決められます。だから、勉強の内容も変わりました。
10倍では、明らかに診療が変わりました。たとえば再根管治療で「ガッタパーチャがこんな所に残っていたのか」と見えたり、埋伏を抜くのでも今まで40~50分かかっていたのが、15~20分になったり。見えることですべてが明示化されるので、治療効果が高くなるし、早くなる。早いのは侵襲性が低いということなので、全身にとっても良い。これはすごく重要なことです。
医院の重要なテーマのひとつが、『口腔から全身へ。全身から口腔へ。』です。今、口腔内の細菌が全身に回って心筋梗塞や糖尿病、乳がんや肺炎など全身疾患のリスクが上がるということがよく言われています。実際に、例えば口の中の炎症がSRPをして2~3日で収まった。でも、CRPを検査してみると、数値がかなり上がっていて体の機能が衰えているということがわかるんです。
CRPの数値が下がらない患者さんや、一生懸命フラップや歯周治療をやっても治らない患者さん。何がいけないのかを考えていくと、原因はやはり免疫にあることが多い。だから、口腔と全身を切り離して考えてはいけないと思うんです。そこで、点滴療法を主とした代替医療を取り入れています。全身の検査をして、その患者さんの免疫機能が改善できているかどうかを把握しながらやることで、治療効果もすごく上がっています。
それから、僕は訪問診療でも10倍のサージテルを使っていますが、ずっと持っているテーマは高齢者のこと。医院にリハビリ特化型デイサービスを提供する施設も併設しています。
日本人は平均寿命が長いですよね。男女平均は84歳ですが、健康寿命は70歳くらい。14年の差があります。その14年は介護が必要になって、社会的にも大変になります。なので、どれだけ健康寿命を延ばせるか。そこに対して歯科として協力していきたいと思っています。
そのほか、デイサービスは自前でやっていますが、例えば耳鼻科や泌尿器科とタイアップしてもいいですよね。全身を考えていくとアイデアは無限です。
仕事はもう歯科医師としてやっていくわけですから、どれだけ自分自身の資質を上げられるかですね。流れ作業みたいなことは考えられないし、いかにこの仕事を楽しんで、人のプラスになることができるかだと思っています。
たいした話ではないんですが、僕は高校は体育科で野球をやっていて、体育大学に決まっていたんですよ。でも父が医療系だったので、駄目もとで医学系を受けてみたらと勧められて。勉強はほとんどしていなかったので推薦入試を探したら、歯学部が2件見つかったので歯医者になったんです。父の影響もあるのかもしれませんが、体は一つで繋がっているので、口腔と全身をトータルに健康にしていくことを常に考えていきたいです。
あまりサージテルの話にならないですけど(笑)、10倍のサージテルを使って確実性が高くて侵襲性の低い治療をするのも、代替医療を取り入れるのも、その人を健康にするのに有効だからです。健康にするということから考えれば別に特別なことではなくて、むしろ「やるべきこと」なのではないかな、と考えています。
だから、歯科医師になってすごく楽しいですね。人と携わって、その人の幸せな未来に役に立てるというのは本当に良いことですよね。すごく素晴らしい職業だと思います。